【親孝行旅行】長崎・雲仙島原へ!福岡で格安レンタカーを借りるまでの話
今年の夏、ずっと先延ばしにしていた親孝行旅行をついに実行することにした。
「お父さん、いつか長崎に連れていってくれるって言ってたよね」
母からそんなLINEが届いたのは、確か春先のことだった。数年前に他界した父が生前、雲仙・島原の話をよくしていた。溶岩が作り出した荒涼とした景色、温泉の白い湯煙、島原城の石垣——そういう話を父は嬉しそうにしていたものだ。
母を連れて、父が語っていた景色を見に行こう。気づけばそう決意していた。
妻と相談しながら計画を立て始めた。
「子どもたちの夏休みに合わせて、1週間くらいでどうかな」
中学生の長男と小学生の長女も連れていく、家族4人の旅だ。 さらに母を加えれば5人。なかなか大所帯になる。
目的地は長崎県の雲仙・島原エリアと決めた。東京から長崎へ向かうルートをあれこれ調べるうちに、「福岡空港に飛んで、そこからレンタカーで移動する」のが一番合理的だという結論に至った。
新幹線で博多まで行く手もあるが、荷物が多い。母も足が多少不自由になってきたし、自由に動き回れる車移動が正解だろう。
ここから、レンタカー探しが始まった。
正直、これが思った以上に大変だった。
福岡空港の長期格安レンタカーをひたすら検索する日々。大手レンタカー各社のサイトを片っ端から見て回った。
5人乗りで荷物が入る車種、1週間レンタル、保険・補償内容——条件を揃えて比較していくと、金額の差がかなり出てくる。営業の仕事柄、数字を見比べる作業は得意なほうだと思っているが、レンタカーの料金体系は会社によってオプションの付き方や保険の組み込み方がバラバラで、単純な比較がしにくい。
「この価格、保険別途だからここに追加料金かかるのか……」
「ETC器械のレンタル料金、ここは別なのか」
細かい部分を確認していくと、最初に「安い」と思っていた会社が実はそれほどでもなかった、ということが何度かあった。
検索を続けるなかで、ひとつの会社が目に止まった。
業務レンタカー福岡空港店。
名前からして業務用のイメージがあったが、個人利用も普通に受け付けているとわかった。そして料金ページを開いた瞬間、思わず「安い」と声が出た。
同じ条件で他社と並べてみると、明らかに価格の水準が違う。しかも、補償内容をよく読んでいくと、基本料金の中に対人・対物・人身傷害補償がセットになっている。
「万が一の事故のとき、追加でどれだけ払うか心配だったんだよな」
これは大きかった。家族を乗せて長距離を走る。慣れない土地の道路を運転する。事故のリスクはゼロではない。そのとき補償がどうなっているか、きちんと確認しておきたかった。業務レンタカーの場合、その点が料金にしっかり含まれていた。
ETCカードも利用可能と書いてある。長崎まで高速を使って移動することを考えると、これも助かる。
ただ車両保険は就いてない模様。レンタル料金の安さはそんなところが要因なのかもしれない。
そして車種選びと予約。5人乗りで、かつ荷物がしっかり入る車。
1週間の旅行だ。母の荷物も含めると、大人5人分のスーツケースや旅行バッグが乗ることになる。
ミニバンタイプを選んだ。後部座席が広く、ラゲッジスペースも十分ある。子どもたちも「後ろ広いほうがいい」と当然のように言っていた。まあ、そうだよな。
予約の手続き自体はシンプルだった。必要な情報を入力して、あっさり完了。
「ここにしよう」
妻に報告したら「安くてよかったね」の一言。それで終わった。
旅行の前日、家の中はちょっとしたカオスだった。
「これ持っていく」「いや、それは要らない」
長女がぬいぐるみを旅行バッグに入れようとして長男と口論になっていた。妻は母に連絡を取りながら、薬や日用品の確認をしている。僕は車の積み込みをシミュレーションしながら、荷物をまとめていた。
「福岡空港について、まずレンタカー屋さんに向かって……」
翌日のルートを何度も頭の中でなぞった。福岡空港から業務レンタカーの店舗へ向かい、車を受け取る。それから長崎方向へ南下する。雲仙を目指す。
父が話していた白い湯煙の景色を、今度は僕が母と一緒に見に行く。
羽田空港のチェックインカウンターに並びながら、母が隣でぽつりと言った。
「お父さん、喜んでくれてるかしらね」
答えの代わりに「行ってみればわかるよ」とだけ返した。
福岡空港に降り立ち、業務レンタカー福岡空港店で車のキーを受け取った瞬間、旅がはじまった実感が湧いてきた。
「じゃあ、出発しようか」
長男が「やったー」と小さく叫び、長女がぬいぐるみを窓に押し当てた。妻が「シートベルト!」と制して、母が静かに笑っていた。
——こんな時間のために、仕事を頑張ってきたんだと思う。
長崎へ。雲仙へ。島原へ。
父が語っていた景色の中へ、家族みんなで向かった。